半井小絵 NHK気象予報士 2009年版カレンダー

2006年02月23日

TXの負の側面を追う―

つくばエクスプレスという名の鉄道路線が開業して約半年。
メディアを巻き込んで華やかさを演出する当局のプロパガンダと、新し物好き国民性の歯車がかみ合い、開業前後には、ある種否定を許されない雰囲気さえ存在しました。
しかし千葉県内の沿線地域にも関わりが深い私にとっては、開業の随分前より、その路線建設と「沿線開発」による、ある意味“被害”的な面を見てきました。

東京新聞のweb版にこんな記事が載りました。
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 松戸市の自営業香取直孝さん(55)が、昨年8月に開通したTXの“負の側面”に焦点を当てたドキュメンタリービデオを制作した。タイトルは「新線が通る」。県内では柏、流山市内を通り、華々しく開業したTXだが、香取さんは「影の部分はみんな知らないが、開発によって困難な生活を余儀なくされる人がいることを知ってほしい」と訴えている。
香取さんは…十五年ほど前に生まれ故郷の松戸に戻ってからは、無農薬野菜の販売店を経営しながら作品を撮り続けている。
「どう考えても机上の空論。現実化するとは思えなかった」と振り返る。約七年前に目にした沿線開発のパンフレット。そこには、巨大な駅ビルと広々とした駅前広場、高層ビル群が描かれていた。「(オフィス街の)東京・大手町のようだ」と目を疑った。
開発に疑念を持ち、開通の二、三年前からカメラを回し始めた。カメラを向けたのは、開発で農業が続けられるのか心配する柏の農家や減歩に反対する流山の住宅地の住民たちだ。

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少なくても千葉県内に関しては、TXは田園地帯や森林などを通ることになりました。
この地方では常磐線沿線が、東京通勤に便利とされたため、1960年代以降急激な住宅開発が行われ、人口が急増し、環境が急変。貴重な森や林だけでなく、田畑もものすごい勢いで減少して行きます。
そんな中、常磐線より少し離れた、言ってみれば貴重になってしまった森林や農地があるエリアに、新線建設と沿線開発の話が襲い掛かった、と言う図式です。

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 彼らは「便利さではなく、静かな環境を求めて移り住んだのに…」「努力して手に入れた土地を取り上げられる発想はなかった」とカメラを前に、切実な思いを吐露する。香取さんは「何度もインタビューを繰り返して信頼関係を築き、彼らの『日常』を撮った」と言う。作品の中では、こうした問題点をこれまで報じてこなかったマスコミなどへの批判も盛り込まれている。
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流山市では、江戸川沿いの農村・木(き)集落から「おおたかの森」=市野谷の森の先までを縦断します。勿論、途中には新住民の多い住宅街もありますが、古くからの集落=つまり古くから住んでいる地区があり、その辺がちょっと弱い記述。
他、貴重な鳥類であるオオタカの生息区域も、「開発」で半分以上が伐採されます。
対照的に比較的新しい南流山住宅地は地下方式。

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 香取さんは「浅草や秋葉原に行くには便利になったし、光の部分を否定はしない。だが、新線は通っても、地域の開発はこれからなんです」と話す。

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私も勿論、学園都市と東京を結ぶ鉄道自体には、必要性を感じます。需要に対してバスだけでは輸送力が弱いのです。
しかし、TXというのは、不便地域を便利にするという面よりも、『鉄道を作って沿線を開発し新たな需要を作る』という面が強いのです。
沿線環境を壊してまで、他所から人々を寄せ集める、というものであり、地元軽視のものです。ただの荒地ばかりの地域ならともかく、貴重な自然や住環境がある地域に線路を通すだけでなく、新しい街をつくることには、必要性で無くどうしても利権的な臭いがします。これらには税金がたくさん投入されます。
そもそも『鉄道のために沿線開発して利益を稼ぐ』というものは、大正時代の古臭い考えで、本末転倒と言えます。逆です。

少し昔から見てきた私としては、この地方は単に東京に近いというだけで、権力層や新住民のある一定の層から、豊かな自然や農業を否定されてきたと言える地域もあり、そんな中、流山、柏市のTX沿線となった地区は、常磐線沿線と比べると農地や森林などが保たれ、新興住宅地も静かです。
野鳥が集まる森もあり、というよりこの地区は森があれば鳥と言った感じですが、無学な人間の見方ではありますが、それだけ鳥類の生息区域が急激な宅地開発で減ったという表れなのかもしれません。それでも宅地と森林、田畑がある程度共存してきただけに、TX「沿線開発」で貴重な動植物環境が今以上に減少することに悲しみと憤りを覚えているのです。
「流山おおたかの森」と言う駅名は、決してジョークでついたものではないのです。
オオタカは生態系がまともでないと生きられないそうです。

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 三月三−五日、香取さんが自宅の敷地内に建てた上映館「天神庵」で上映される。香取さんの映画仲間が撮った他の三作品も鑑賞できる。料金は一作八百円から四作二千五百円まで。問い合わせは香取さん=電047(343)2756=へ。

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私はある場所で偶然同席した方の地区が、沿線開発反対運動をされているという地区でした。
このドキュメンタリーを撮られた香取さんは、社会派の作品を何本もとられた方だそうですが、実際に、土地や環境を奪われる方に取材をされるのはまさにジャーナリズム。“市民”の側を見ずして何もわかりません。私もぜひ拝見したい作品です。ていうか、少なくても沿線各都県の人は見るべきでしょう。

こういう話を載っけてくる、そういう姿勢。そこが、東京新聞の嫌いじゃないところ。
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