2006年12月26日

鹿島鉄道線廃線を決定―納得できない!

公募団体不採用
鹿島鉄道線廃線を決定―自治体協議会


 鉄道の廃止届けを提出していた鹿島鉄道(株)に代わる事業者を公募した沿線自治体でつくる鹿島鉄道対策協議会は24日、応募した2団体の審査結果を発表しました。
 それによると合格者はおらず、事実上鉄道の廃止が最終的に決まり、2007年3月31日限りで廃止、バス代替となります。(これまでの経緯と当「喫茶」の主張は<タグ>又は後述リンクを参照)

 報道によると、発表では以下のように理由付けしています。

・2団体とも5年間の支援額の上限6億5千万円を超える負担が生じる可能性が高い
・既に鉄道事業許可を得ている団体ではないため安定した継続運行が保証できない
・鉄道資産は「早期に債務を弁済する計画」(鹿島鉄道(株))で、つなぎ運行や無償譲渡はできない
・金がかかることと「安全運行面で難しい」のでつなぎ運行できない
・人員は関東鉄道(株)に戻るといっているので現場継承はできない

 なお代替バスへの財政支援については、

・「何も決まっていない」


■新聞の報道

 茨城、常陽新聞の県内地方2紙と、朝日、毎日、東京新聞の茨城県版3紙の計5紙に目を通しましたが、ローカル線問題の本質をついて書いている記事は無いものの、朝日新聞が自治体などの失策について指摘しております。
--公募が決まったのは11月中旬、撤退まで残り時間は4カ月あまり。今回の決定は、対策協議会がもっと早く公募に踏み切っていれば、別の結果もあり得たのではないか…
 自治体側は手間がかかる公募より、同鉄道(鹿島鉄道(株))による存続にこだわり続けてきた。
 同鉄道は今年7月、車両の更新費などを上乗せし、約11億円が必要と修正報告した。対策協議会6億5千万円とする支援計画を同鉄道に提示。しかし、圧縮の実現性を議論する以前に「血税の無駄」と拒まれ、公募を選択せざるを得なくなった。
 自治体側が同鉄道の意思をよく確認しないまま話を進めてきたからではないか。
 結果的に自治体側の見通しの甘さが貴重な時間を浪費したと言われても仕方がない。
 同鉄道も存続の意思がないのなら、早く明言すべきだった。必要経費を試算して存続に含みを持たせたことは、自治体側の公募への方針転換を遅らせる一因となった。(朝日新聞・茨城版2006年12月25日)--

 公募で全て良いとは思えないですが、自治体側は審査結果の理由付けといい、当事者意識が薄い無責任なやり方です。関東鉄道子会社鹿島鉄道(株)に対する妙な依存心は指摘されるところで、鹿島鉄道(株)の「11億円」要求は何をもってしても存続意思がない表れであったのではないでしょうか。

 茨城新聞は常陽と比較して取材力があるからか、地元の視点を取り上げました。ただし茨城新聞は「今更」な感じがします。
--(県内の)廃線は、最近では2005年3月の日立電鉄線以来。茨城交通湊線も存続できるか予断を許さない状況で、民鉄を取り巻く状況は依然として厳しく、交通弱者の足は少なくなる一方だ。
 小美玉市内から石岡商高に通う○○さん(一年)は「家が自営業なので親が忙しく、かしてつ(鹿島鉄道線)がなくなっても、学校まで車で送り迎えしてもらうのは難しい。バスになると、道路がいつも込んでいて時間がかかる」と不安を口にする。
 沿線の中学・高校生らで構成する「かしてつ応援団」顧問の○○小川高教諭は「今は高校生の通学の足を確保するのが一番の課題。行政は早急に説明会を開くべきだ」(茨城新聞2006年12月25日)--


■自治体と関鉄グループ鹿島鉄道のやる気のなさ

 県内にいてある程度関心がある人なら誰でもわかりそうなものですが、県を含めて自治体行政・議会は今ひとつ積極性が見られませんでした。
 莫大な金をかけるところは百里の軍民共用化、常陸那珂港などといった所謂「無駄な土建屋事業」。
 「道路」、「空港」、「港湾」はいいけど、「鉄道」は金使いたくない…わけわかりません。

 一方、関東鉄道完全子会社鹿島鉄道(株)は、自治体を差し置いて「血税」発言をするなど沿線住民に対して配慮すら欠いており、やる気のなさの極みと言えます。


■355号線では無理―通学手段と交通弱者を忘れるな!

 先日「小美玉市」某所に用があり、鹿島鉄道線の駅から本数の少ないバスに乗っていったのですが、並行する国道355号は昼間時間帯でも、片側1車線の道路は凡そ車が続いて走っており、これでは平日の朝はかなり混むでしょう。
 現状は既述の高校生が指摘しています。

 廃線後はより混雑するでしょうから、代替バスは列車のように時間通りには進まないはず。遅いと言われる鹿島鉄道ですが、速度と定時性で列車にかなうバスはありません。勿論代替バスではありませんが、列車、バスを乗り比べると速度の違い改めて実感します。

 歩道も路肩も狭いか、ないようなもので、自転車通学でも危なそうで、これではなかなか厳しいな、と感じました。
 その上百里の“軍民共用化特需”なのかは知りませんが、ダンプトラックが目立ち、余計に怖いし、排ガスが飛んでいます。そんな路肩でした。

 このような状態で通学など利用者の安全と安定性が保たれるでしょうか。

 鹿島鉄道線は凡そ30キロの路線長です。沿線に市街地が少ないので、何かの用事でも例えば隣の駅に行けば何とかなると言うケースが少なく、都会と比べれば長く移動しなければ目的を果たせないことが多いのです。
 ですから、現在の鉄道線のある意義は潜在的なものを含めて大きく、バスでは力不足で、「バスで肩代わりができる」というのは机上の論理と言えます。バスは普通近距離向きなんですから。
 
 その点、一部が主要都市圏に入り、路線中間のJR常磐線接続駅・大甕が利用の“分水嶺”である日立電鉄線(現・バス転換)ともまた少し違うと思います。

 廃線は通学需要における選択肢を奪う、また道路の混雑まで引き寄せるような結果です。


■インフラとしての維持を先ず
 ことの本質は乗客減ではありません。鹿島鉄道線の存廃問題は百里基地への軍事燃料輸送がなくなり“貨物のお得意サマ”を失ったことがきっかけです。
 そもそ有力観光地でも主要都市圏でもないローカル鉄道は旅客事業のみでは営利事業として厳しいのは当たり前です。
 ではその維持をどうするか、先ずこの視点が重要であるはず。
 国、地域の社会基盤としての位置づけが不明確な今のままなら、日本全国でこのような理不尽な廃線は続いてしまいます。
 日本の鉄道切捨ての流れも非過疎地まで来てしまっています。各鉄道会社の経営といった個別の問題のみを言っていては本質が見えてこないと思います。

続きを見る
この記事へのコメント
本当に、廃止と聞いてショックです。

速くて、大量輸送が出来て、定時性にも優れ、安全で、エコな鉄道が社会で正当な評価がされておらず残念でなりません。

今までのゴタゴタは一体何なんだったんでしょうね。公募しながら結局不採用とは。議論のための議論だったんすかね。
不採用にしたからには、対策協議会さん事業を引き継ぎませんか?

私のブログでもとりあげました。そちらもよろしくです。
Posted by やっしー at 2006年12月26日 18:25
>やっしーさん
 コメントありがとうございます。そちらにも参ります。
 本記事ちょっとバランスの悪い文になりましたが、

>定時性にも優れ、安全で、エコな鉄道が社会で正当な評価がされておらず

 これはまさにその通りです。
 やはり廃止ありきではそこが意図的に削られてしまい、運動も対等な立場に立てない。つまり何を言っても「お客が少ないじゃないか」といわれれば立場も弱くなってしまう。

 先人達が苦労して編み出し築いてきた鉄路が、金銭の都合で簡単に消されてしまうことに、悲しさと憤りを感じます。
Posted by よるの黒茶 at 2006年12月27日 19:49
 こうなれば、鹿島鉄道は廃止を目指すが、遊覧列車専門の鉄道も目指さないでしょうか。
 廃止になれば、霞ヶ浦の遊覧列車をです。

 たとえ、鹿島鉄道が全線あっても、東京地下鉄に直通されそうにないが、総武流山電鉄はされそうでしょう。
 だったら、東京地下鉄から土浦直通もできると、土浦駅から霞ヶ浦へ、バスをして、遊覧列車に接続されると、いずれ、デュアルモードバスで鉄道復活もどうですか。
 土浦は東京直通列車が多くて、特別快速もあるので、鹿島鉄道沿線からデュアルモードバスやバスが土浦駅直通は、鹿島鉄道廃止後の交通として目指しませんか。

http://www.tanomi.com [サービス]より↓
Posted by THEある日 at 2006年12月27日 20:29
>THEある日 さん
 コメントありがとうございます。
 鹿島鉄道(株)が何を考えているかはよくわかりませんが、資産は有償譲渡したい意向だけは報じられていますし、仮に20年前に観光鉄道化しても商業的成功があるかどうかは難しいところです(霞ヶ浦は自然観光ですからね)。
 >土浦
 茨城でバスファンもやっているので嫌でも代替バスが通りそうなエリアが頭をよぎります。あることはあるんですよ、玉造町〜土浦間に。でも1日5便。霞ヶ浦大橋は交通量が非常に多い(特に夏は海水浴客のルート)ので思うほどは役に立たないでしょう。石岡〜常陸小川間、小川高校下と他の区間の移動需要とバスの速度と定時性を考えると、最良はやはり列車、鹿島鉄道線です。鉾田でも対東京は運賃所要時間で優っています。バスだと傍系の高速バス(東関道)が布石的に延伸してるんですね。
 どちらかというと対東京よりローカル性が強いので、代替バスは、鉄道廃止を認めるようで考えたくないのですが、
1.石岡〜玉里エリア
2.石岡〜(快速)〜小川〜玉造エリア
3.土浦〜(快速)〜玉造エリア
4.石岡〜(快速)〜小川〜上与沢(バス停の名前)〜鉾田
 凡そ4本立て(既にある路線が含まれている)が考えられますが、それよりも自家用車依存が加速すると思われます。
 ただ案として、地元自治体で鉄道用地をバス専用道にするなら、まだ救われると思いますが、これも廃線直後にできませんから、年度始めのタイミングが悪いんですね。
Posted by よるの黒茶 at 2006年12月27日 23:57
> ただ案として、地元自治体で鉄道用地をバス専用道...

 だったら、遊覧列車専門の鉄道のため、霞ヶ浦あたりは道路にしないで、石岡駅から小川あたりまでバス専用道路にして、石岡駅から鹿島空港へバスはどうですか。
 そのバス専用道路で、松戸から鹿島空港へ高速バスもどうですか。松戸は最寄空港は鹿島空港が優位になるためにです。
 鹿島鉄道がデュアルモードバスになっても、松戸から鹿島空港へ行くには、石岡で乗換えになり、常磐線直通されそうにないので、だったら、松戸から空港直通のバスが優位でしょう。
 松戸は、羽田空港へ行くには、複数回乗換えがあって、乗換えが大変だからも、鹿島空港が最寄空港になるはずです。
Posted by THEある日 at 2006年12月28日 16:40
>THEある日さん

 案は私案です。念のため。一番良いのは鉄道を残すこと、これには変わりません。
 >遊覧列車専門の鉄道
 TPO社がその性格“も”考えていたと思います。審査は不合格でした。他の民間会社の応募はありませんでした。
 当該記事では鹿島鉄道線以外のバス案については対象外とします。当方は軍民共用化も基地も反対です。

 ただ、仮の話として純粋な空港ができるとしても松戸から高速バスが出来ることはないと、無関係ですがそう予想しています。
 当「喫茶」内のarticle/29951690.html
もご覧下さい。
Posted by よるの黒茶 at 2006年12月29日 15:48
> その性格“も”考えていたと思います。

 それほど、遊覧列車に最適であれば、霞ヶ浦あたりだけでも、そうならないでしょうか。

> 空港ができるとしても松戸から高速バスが出来ることはないと、無関係ですがそう予想しています。

 そうでも、鹿島空港から日光行のバスはどうですか。
 日光にしては、羽田からバスは東京都心部があるので、鹿島空港からは、都心部に入らないので、行きやすいでしょう。
 だが、鹿島鉄道で、空港最寄駅(常陸小川)から日光行の列車はできそうにないでしょう。
 だから、廃線跡がバス専用道路になれば鉄道以上に利点あるのではないでしょうか。
http://rail-route.log.thebbs.jp/1097263845.html
Posted by THEある日 at 2006年12月29日 21:52
 取手、竜ヶ崎、牛久各市は鹿島鉄道沿線への恩返しが必要だと思います。教員不足の時代、多くの人材を動員して教育を成り立たせてきました。いま、この恩返しをする時期に来ていると思います。
 この三市は百里飛行場に手頃な距離にあります。新たな住宅の建設にお金を使わず、鹿島鉄道沿線へ恩返しをすることにより、いったんバスになってももう一度鉄道を復活させる必要があると思います。
Posted by みのる at 2007年02月10日 14:44
> いったんバスになってももう一度鉄道を復活...

 そのためにも、岡山電気軌道を応援していかれませんか。
 岡山電気軌道が西武鉄道に経営参加を目指す応援もです。
 そうなれば、西武鉄道で安定して利益を得られると、鹿島鉄道を復活しやすくなるだろうからです。
Posted by THEある日 at 2007年02月10日 16:40
>みのるさん
 ご来「店」ありがとうございます。
 >取手、竜ヶ崎、牛久各市は鹿島鉄道沿線への恩返しが必要。教員不足の時代、多くの人材を動員して教育を成り立たせてきました。

 私のような県外出身者にはわからない過去がありますね。
 その教員不足の根源はJR常磐線や関鉄常総線沿線の宅地開発・急速なベッドタウン化というところにあると思いますが、「恩返し」と仰るその意味の後ろ側にあるのはやはり、東京通勤圏偏重という県内間の“歪み”ですよね。
 つくばエクスプレスは税金を投入して沿線開発の先導者に自治体当局がなっている。その一方で、元から住んでいる人々のための福祉は、市場原理という鉈で切り落とされている。鹿島鉄道線をインフラと考えれば、誰でも暮らせる街づくりすら放棄してしまっている、そんな感じを受けます。

 >百里飛行場に手頃な距離。鹿島鉄道沿線へ恩返しをすることにより、鉄道を復活させる必要がある。

 ご承知の通り、百里基地を民間共用とするために莫大な税金を投入。本来「公」がやるのは福祉ですが、県と県内自治体は私企業がやる事業投資どころか「バラマキ」という“土建屋の福祉”に見えます。

 鹿島鉄道は長距離利用にも「使える」手段。先日ある鉾田市議のセクハラ宴会を暴露した番組でも、「新幹線で行けば日帰りできる」と鹿島鉄道とJR特急フレッシュひたちの乗り継ぎを最短時間として指摘していました。
 普段使わなくても張り巡らされた日本の鉄道網の一部として活用する人々、例えば帰省客など住民以外の人々もそうです。東京・名古屋・仙台など大都市とを結ぶ重要な足である鉄道を「茨城空港」の飛行機が代わることは出来ません。

 鉄道施設は本当に無くすべきではないと強く思います。勿論、リアリズムとして、誰も鉄道運営する人が居ないのならバスで日々の交通を維持すべきと考えています(居たことは居たのですが)。
 鉄道施設・土地は会社清算のために売ると言っていますが、一度失うとまず復活はできませんから、できるならなんとかしたいですが。

 鉄道廃止は「格差(差別)社会」の一端であると深刻に受け止めています。公共交通の衰退は表面上のきっかけは市場原理ですが、必ずそれを推進する背景が(たとえ消極的でも)ある。ある程度のバランスを保って来た日本でも壊れ始めている。車社会化に“漏れる”層は社会生活を営む権利すら奪われます。公の「バラマキ」も「投資」もやめて、「誰もが」の観点で経済も町づくりも考え直さないとこの先不幸な社会になります。
Posted by よるの黒茶 at 2007年02月14日 02:48
 このようなセクハラは更におよぶでしょう。

> セクハラ宴会を暴露した番組でも、「新幹線で行けば日帰りできる」と鹿島鉄道とJR特急フレッシュひたちの乗り継ぎを最短時間として指摘していました。

 あの紅白のヌードの着ぐるみが話題になったが、宴会用に市販されては、「女性から男性へのセクハラ」がおよぶだけです。
 だから、NHKに指摘しておいたので、NHKが「女性から男性へのセクハラ」についても番組をするなりしてほしいです。
 日本は女性の人権や女性差別についてばかりで、男性の人権や男性差別は無関心だからも、男性差別についてももっと考えないのでしょうか。
 だったら、常磐線の女性専用車両を、国電区間だけではなく、鹿島鉄道と接続の石岡や、せめて、土浦まででも増やさないのでしょうか。
 そうしたら、茨城県でも、男性差別についてももっと考えるようになるかもしれません。
Posted by THEある日 at 2007年02月14日 16:44
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